
テンカラサミットは当然、河川環境も含めこれからのテンカラを考えるということがテーマでした。(詳細は山ちゃんのブログ花立毛鈎工房をご覧ください。)二次会の席でも話題はどうしたらテンカラを普及できるのか、自分たちに何ができるのかということになりました。(酔っていたのでまともな会話になっていなかったと思いますが、木村さんを始め、皆さんごめんなさい。)あれから1ヶ月余、仕事に追われ、まだ解禁を果たしていませんが、仕事の合間に自分なりにあれこれ考えたことをまとめてみます。
まずはテンカラがメジャーにならない理由についてです。道具立てがシンプルすぎて市場にならないから、イメージ的におじさん臭いから、いろいろあると思います。
伝承的な職漁師の和式毛鉤釣り、その歴史は古いです。(詳しくは石垣先生のホームページテンカラ紹介を参照して頂きたい。)しかし、ゲームフィッシングとしてのテンカラの歴史はまだ浅く、各地に伝承的に伝わってきたものだけに、各名人による流派性が強く、まだスタンダードといえるものが確立されていません。これが、テンカラがメジャーになりきれない一番の理由ではないでしょうか。
自分も鬼の釣り、榊原流テンカラを求道する者として例に漏れていませんが、師匠に心酔し、追い求めれば求めるほど一門としての敷居が高くなってしまいます。多分どの一門でも同じことがいえると思います。自分のやっている釣りが一番、そう思うのは当然です。結果、初心者に「どの釣りが正しいの、どれが基本なの」と言う疑問を持たせ「テンカラって難しそう」と思わせてしまうのではないでしょうか。下手をすると、普及したいと思っているのに自分たちの行動の結果、逆の状態を作り出しているのではないか、そんな不安が・・・・・。
主流があって亜流がある。支流が集まって本流を作る。テンカラもそうであるべきです。「スタンダードテンカラ」あると思います!(石垣先生はきっと主流を作ろうと尽力されているのだと思います。)
アプローチもキャスティングも理にかなったものがあります。フライの世界ではかなり科学的に研究されていて理にかなったものが知られています。これがスタンダードです。テンカラも竿を使って糸と毛鉤を飛ばす以上、物理的に理にかなったキャスティング方法があります。奇抜なホームや道具は必要ありません。伝承というのは厄介なもので、確かに長年培われ理にかなったものもありますが、「昔はこれしかなかったから」に気がつかず、未だに頑に守り続けているものもあります。
自分は鬼の釣りにスタンダードがあると思います。師匠が取り上げられる時にはその神業的な技術から、カリスマ性が全面に押し出されがちですが、師匠は自分の釣りを極めると同時にスタンダードも作り上げています。師匠の釣りは伝承を受け継いだものではありません。そして、理にかなった無理のない自然体が基本です。川に入ってから魚を掛け、取り込むまで無駄な動きがありません。誰もがまねのできないものではなく、誰もがお手本とすべき姿がそこにあります。
フライの雑誌「Fly Fisher」4月号(釣り人社)にパタゴニアの創始者イヴォン・シュイナード氏の「Simple Gifts」という記事が載っていました。氏はフライマンですが最近はテンカラをやっているそうです。(昨年、師匠がアメリカ釣行に行った時に同行し親交を深めたそうです。)イヴォン氏は禅に傾倒し、現代の物に溢れた社会、あまりに進化し多様化し道具に頼りすぎるフライフィッシングに警笛を鳴らしています。「なにごとにつけ、熟達の域をめざすなら、シンプルさを求めることだ。複雑なテクノロジーを、知識や努力、スキルで置き換えることである。」「〜スポーツの目的とは、精神的、肉体的に成長することである。もしあなたがプロセスにおいて妥協をすれば、変わることもできないだろう。」氏はそう言っています。そんなイヴォン氏がテンカラをやっています。嬉しいことす。そして、期待が持てます。
今の日本、市場主義世界の中でこの考えがどれだけ受け入れられるか。エコロジーが叫ばれて久しく、現在は世界的な不況の真っただ中。もうそろそろこのミニマルな考え方が普及してもいいのではないでしょうか。
テンカラのスタンダードを確立すること、そしてそのシンプルさが受け入れられること、それがテンカラのメジャー化につながるのだと思います。
5 件のコメント:
久々の更新、じっくり読ませてもらいました。スタンダードはある。「あると思います!」思わず吟じてしまいそうです。十人十色でテン・カラーというのも良いと思いますが、新しく始める釣り人にとっては、合理的なものしか受け入れられないのではないかと思います。
吟じてもらえましたか。
今回のイラストどうかなステッカーに使えるかな?また意見聞かせて下さい。
おひさです!
非常に興味深い話しでした。
ひとつに『技術』優先のテンカラ
『ファッション』優先のフライ・ルアー
という先入観の違いがあげられるのではないでしょうか?
入りやすいのはモチロン後者です。
メディアも充実していますし、独りでも始められます。
俄かフライマン・ルアーマンが増えるのは
技術よりもファッション優先、とりあえず揃えてみる。始めてみる。
最終的には『技術』が必要なので挫折する人も多いでしょうが、
底辺は相当数いると思われます。
一方 テンカラ。
道具立てがシンプルです。
その先にあるのは『技術』だけです。
メディアも充実していません。
ひとりで始めるのは難しいですね。
他にも書きたいことはありますが
長文になってしまったので・・・。
やはり、確かな師についてスタンダード(基本)を学ぶことが一番の近道ですかね。
今回のイラスト、ステッカーになると思います。Tシャツのバックに大きく入れてもいいんじゃないかな。釣り講座の情報を入れてくれてありがとう。花立毛針(はりの字がねえよ~、どーやって書くんだよ~)工房さん、yo-zoさんもアップしてね。アドレスにメールくれたら、文書を送るからね。 鬼
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