2008年9月23日火曜日

ばれた大物



これは、T川本流の29㎝のアマゴ。2枚とも同じ魚です。綺麗な魚ですが今回は脇役です。


 毎シーズン、「あの魚を掛けていれば・・・・」という悔しい魚がいます。

今シーズンも。あの魚を思い出しただけで・・・・

「くやしいです!」

というより脱力感、そして溜め息が・・・・

その魚をばらした時の話

 8月の最後の休日、夕間詰め狙いでホームの川へ。この時期各地でゲリラ雨なるものが発生し水害をもたらしていました。途中何度も雨に降られ、不安と期待が入り交じり、はやる気持ちもあって早く着きすぎてしまいました。川は前日の雨で増水し濁りが入り、天気は曇ったり晴れたりで何時雨が降り出すか分からない状態。普段ならこの時期に、こんな時間帯に竿は出さないのですが、絶好のコンディション、時間つぶしに竿を出すことに。

 道々、車の窓から川を眺め、いつもはあまり竿を出さない本流下流部で入渓。

ここは以前、師匠ががまかつのテスターとして実釣して見事尺アマゴを掛けたところです。
(あの時の師匠はすごかったなぁ。この話はまた今度。)

当然、辺りに人は見当たりません。大岩と大淵が連続するこの辺りは入渓者も多く、かなりいじめられているせいか魚も出ません。ここぞというポイントに#4の毛鉤を射ち込んでいきますが、水面は静まり返ったまま。ようやく出てもハックルを突いて帰って行くだけ。その後チビを1匹掛けて、大岩の際に毛鉤を射ち流心にそって流したとき、25㎝位のアマゴが一緒に流れ下りながら水中で毛鉤をくわえましたがあわせきれず、いよいよ最後のポイントへ。

 対岸の障害物の際に毛鉤を射ち、中から魚を誘い出すように流心に向けて水面直下を流します。少しずつずらしながら、数投繰り返すと笹色の濁りの中で白っぽい魚影が一瞬ゆらっと動きました。魚影は元の位置に戻らず、下流に下ったように見えたので、少しずつドラッグを掛けながら下流側を丁寧に探って行きました。流心に沈み石があり、その際から石裏の緩い流れに#4番の毛鉤をスーッ、スーッと誘いをかけながらゆっくり流すと水中からさっきの白い魚影がヌーッと現れ毛鉤が消えました。竿をそーっと立てるようにあわせると水面が割れ、バタン、バタンと体をくねらせその巨体を現しました。

でかい!

今まで管理釣り場でしか掛けたことのない大きさ。40とは行かずとも優に35㎝はありました。かなり竿が下流に寝た状態で掛けたため竿でためることができず、しかも岩の上に立っていたため、とっさに下流に下ることもできずに、そのずっしり重い竿を走られないように、ただそのまま持ち堪えるしかありませんでした。堪えきれなくなりバランスを崩しながら川に飛び込もうと、足下を見た瞬間、今までの重みが嘘のように軽くなり、竿には何の抵抗もなくなりました。「あーっ!」という叫びとともに、力無く流れに漂う黄色い糸を、呆然と眺めていました。
 
なんでだ!なんで、何が起きた!?」

あわてて糸をたぐり寄せてみるとハリスの先の毛鉤がありません。よく見るとハリスの先端が巻いていました。結び目から切れたのです。ハリスに傷がついていたのか、竿が伸されたために耐えきれずに切れたのか、どちらにしろ1号のハリスが切れたのです。自分のミスです。ポイントに入る前に、ハリスや結び目をチェックしておけば良かった。魚の出る位置を考えて立ち位値を変えておけば良かった。竿を4.5から5mのズームにのばしておけば良かった。頭の中を後悔がぐるぐる回りますが後の祭りです。二度と出会えないかもしれない大アマゴは#4の毛鉤をくわえたまま笹色に白んだ流れの中に消えて行きました。諦めと後悔と、諦めきれない気持ちとで冷静になるまでしばらく時間がかかりました。・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??・・!
・・・・今日は釣れる!(偉いぞ、俺。すごくポジティブ。)
「今日の本命ポイントはここじゃないじゃん。ここはただの時間つぶし。この時間帯にあんな魚が出るのだ。夕間詰めはきっと♡。」

新しい出会いを求めて即移動。

 この後、途中でバケツをひっくり返したような大雨に遭い諦めようかと思いましたが、濁りがひどくなることもなく、釣行を続け29㎝の綺麗なアマゴと出会うことができました。

 それにしても悔やまれるばらした大アマゴ。逃した魚は大きいと言いますが、本当に大きかったなぁ。29㎝でも大喜びのはずなのに、小さく感じ喜びも半減。

「くやしいです!」

 この悔しさをバネに、休日の度に家族や仕事を放り出して川に出かけたのは言う間でもありません。


1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 T川からの帰路、落胆しきった声で電話をくれたことを思い出しました。29㎝なら喜んで良いはずなのに、悲しそうな声でしたね。